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チョコレート・アンダーグラウンド by おおぞら

旧記事

時は現代、どこかのとある国のおはなし。健全健康党に支配されてしまった世界。
 時の政権政党「健全健康党」によって、国民の健康のため一切甘い物を禁止する“チョコレート禁止法”が発令される。

「今日の午後5時から、チョコレート全面禁止!!」

 党の機関であるチョコレート警察によってチョコレート所持者は厳しく処罰されるようになってしまった。主人公である2人の少年は、チョコレートの包み紙を持っていただけで警察からひどい乱暴を受ける。

 その後も取り締まりのため、学校に現れた警察は、違法チョコレートを所持していただけで主人公2人の同級生を再教育キャンプに連れ去ってしまった。

 英国の人気作家アレックス・シアラーが描くファンタジー小説『bootleg』は、英国を起点に世界中で人気を集め、日本は『チョコレート・アンダーグラウンド』と名を変えて来年の1月下旬にプロダクション I.G+トランス・アーツによりアニメ化される。

 

 さて、この話をチョコレートから大麻に変えてみましょう(ニヤリ)

 時は現代、どこかのとある国のおはなし。一党独裁政権が半世紀以上に渡り国を支配してきた世界。
 マスメディアがジャーナリズムの精神を失い、多くの大人たちが政治について考えを止めまともに関心を抱かなくなった世界。

 古くから生活や祭礼儀式とは切っても切れない身近な植物だった大麻は、半世紀以上前の敗戦の後に押し付けられた省令によって大麻は麻薬と指定され大麻草の所持、栽培、譲渡等が全面的に禁止された。
 
 大麻は全面禁止!!ダメ!ゼッタイ!」

 国の機関である麻薬取締官や警察官たちによって、大麻を少量所持していただけの罪無き被害者達が次々と拘留所、刑務所へと運ばれ社会的地位が不当に奪われていく。公共機関やマスメディアは「大麻=悪」の図式を流し続け国民を洗脳する。
 外の国では、産業または医療利用に対して大麻に関する法律が見直され研究の道が開かれ資金が提供され、大麻についての認識は改められつつある。また、とある国に省令を押し付けたどこかの国の一部でも住民投票が可決され嗜好品としての大麻の少量所持の非犯罪化が認められている。それでも公共機関やマスメディアは国民に真実を告げようとしない。

 その後も更に取り締まりを強化するため、大学に現れた役人は、大麻を少量所持していただけの学生を逮捕し、マスメディアは騒ぎ立てて、彼らの教育の権利と未来を奪ってしまった。

 これは一体全体どこの閉鎖的な独裁国の話なのでしょうか?(苦笑)

 原作小説の題になっている「ブートレグ(bootleg)」の本来の意味は、「密造酒または密売酒」である。これは、かつて密造酒をブーツに隠したことに由来する。 

 様々な社会問題をユニークな視点で笑い飛ばす視点や、大人の社会の問題を子供の人間関係に置き換えて笑えないジョークにする感性は、さすがモンティパイソンの国イギリス、さすがアレックス・シアラーとしかいいようがありません。

 チョコレート・アンダーグランドにおける「チョコレート禁止法」も、今となっては酒好きの間では悪法であり馬鹿げた法律だと笑い話にされている「禁酒法」も、そして現在施行されている「大麻取締法」も「選択する自由」を奪う意味では同じ悪法だと私は思う。

 どんなに良いことであっても、他人に価値観を強制されることは社会は苦痛です。世の中、健康を望む人がいれば、そうでない人もいる。それらはすべて、他人の権利を侵害しない限り、本人の選択に委ねられるべきだと私は思うのです。

 

 強制されたささやかな安定に甘んじる人は多くても、魅力を感じない人もいるし、強制された安定に疑問を抱く人たちもいる。そして強制された安定のなかで虐げられている人たちがいて、虐げている人たちがいる。虐げていることに気づいていない人たちもいる。「大麻取締法」なんて「チョコレート禁止法」並の馬鹿げた法律なのに、それが大手を振るって歩いている。

さて、以下は「チョコレート・アンダーグランド」の微ネタバレにしなるかもしれないのでご注意を

 あまり悪法と政府の強引な仕打ちに主人公2人は怒りを心頭。2人が健全健康党に健全と立ち向かう。
 チョコレート禁止法により、食べてもいいのは「健康にいい」と政府のお墨付きの、まずーい代用品のみ。となると当然、密売屋なんてのも出てきますが、それは当然高い。だったら自分たちで作っちゃおうと、運よくカカオを見つけた少年たちは行動を起こす。彼らのとった手段は違法チョコレートの販売と、地下チョコレート・バーの開業だった!

禁酒法時代の先人たちよ、ぼくたちに力を!
大好きなチョコレートのために、チョコレートの未来のために、ぼくたちは立ち上がる!

今の政党が決めた法律なんだから仕方ないと諦めて、従っていた国民たちを、少年たちは目覚めさせる。

 ちょっと堅苦しく書いたけどアレックス・シラーの「チョコレートアンダーグラウンド」は良くできた娯楽ドラマを見るようなエンターテイメント小説です。小難しいことは考えずに気軽に心地よい読書を愉しみたい方にオススメします。

 別冊マーガレット誌で2008年1月より「革命的!」と銘打って連載が開始されたコミック『チョコレート・アンダーグラウンド』も作家・山川あいじ氏の卓越した画力によって、とても読みやすい素敵なチョコレートのような美味しい作品に昇華されている。

 また、『ドラッグは世界をいかに変えたか―依存性物質の社会史』を読むと、砂糖が世界に普及する過程も、ドラッグのそれと類似しているらしいことが分かる。タバコ、アルコール、カフェイン、はては砂糖まで全てが大麻と同じ(自然界に存在する(「依存性物質」であることを忘れないで欲しい。そして、その世界的な広がりを国家権力がどのように利用してきたかを本書は詳しく述べています。そして依存性物質がそれぞれの今の地位を築いたさまざまな要因について考察を加えています。

 また『砂糖の世界史』『チョコレートの真実』も深読みしたい方にはオススメの本です。

チョコレートを齧りながら、大麻問題について考えてみるのも面白いかも?
>>健康に良い「大麻チョコレート(麻の実チョコレート) 」(もちろん合法!!)なんてのもあるしね。