マーチについて

 カンナビスト@関西の幹事です。下記で情報共有していました、マリファナ・マーチ、大阪2021は中止になったそうです。SNS上の発言をみただけで、特に連絡があったわけではないので、本当にそうなのかどうか私も良く分かりません。

 

 今年の関西におけるマーチは、昨年度からそうですがCovid-19の事態を鑑みて、私たちは一般参加のイベントを企画することはしないとしてきました。私たちのマーチ関連企画としては、18年末の企画のあと、19年度どうしようか、まあサロンはやろうということで継続して考えてきました。

 もともとマーチは誰のものでもなく、99年以後Global Marijuana Marchとして手を挙げた人がやるものですから、私はやりたい!という人がやればいいものだと思っています。ただ同時に、ローカルでずっとやってきた人がいる地域の場合、できればローカルの人を含めて一声かけてから一緒にできれば、より良くなると感じます。

 

 今年の場合、私たちは「大阪でマーチやりたいという人がいるらしい」と噂を聞きまして、可能であれば、また安全に開催できれば、私たちが責任をもてる範囲で応援したいと思っていました。ただお話を聴いているうちに、色々な観点で、私たち自身が応援したその責任を果たせるか、自分たち自身のことについて懸念を持ちまして、今年の開催案については「私たちは私たち」とすることにして、邪魔にならないようそっと引きました。

 * 別にやりたいという方と何か喧嘩をしたわけでも、否定したいわけでもありません。責任をもって支援できれば支援したいと願っていて、ただ単に「それはそれ、これはこれ」というだけです。マーチは誰のものでもなく、ただ「厳罰化はやめよう」という方向性の共有があって、差別的なことがなければどなたがやってもいいと思います(カンナビスト@関西は、暴力と差別だけはNGです)。

 

現下Covid-19の問題でサロン開催もなかなか思うようにできませんが、オンライン(Zoom)での活動は継続しています。7月25日(日)の夜あたりにオンラインのサロンをやろうと相談していますので、関心のある方はまたご連絡ください。

cannabisty@gmail.com

 

とりあえずまったり、ルイ・アームストロング、1928、Mugglesを聴いています。

 

www.youtube.com

 

大麻使用罪への反対

 現下情勢を賑わせております、大麻使用罪の検討会にて、結論がどうなるか21年5月22日現在で定かではありませんが、「検討会」の議事録および資料を批判的に読解した上で、私たちカンナビスト@関西は明確に反対しております。

 

(1)そもそも大前提として、「大麻問題」に典型的に見られる「ドラッグ戦争」は国際的、学問的には失敗したものと論じられており、私たちは非罰化や非犯罪化を基調とする見解の妥当性を認めてきました。

Kofi Annan: Stop 'war on drugs' - Kofi Annan Foundation

Report of the Global Commission on Drug Policy (opensocietyfoundations.org)

 

 こうした「厳罰化」を基調とする薬物政策にはもう、GCPD (Global Commission on Drug Policy)や米国NORMLなどリベラル/人権派の諸団体だけではなく、米国での「人種差別的な摘発」「大量拘禁社会の問題性」などを前提として、多くの国際機関が「厳罰化を推奨はしていない」ことが明確です。

 確かに、大麻も含まれるドラッグ類の使用は「自己へのハーム」が含まれる場合があり、これは懸念される論点ですが、それは「厳罰化と刑務所」で解決する問題ではなく、重要なことは医療と社会福祉と教育です。カンナビストは以前からずっと、大麻と「若年者のヘビーユーザーが、どの程度精神疾患と相関するのか」「自動車運転の場合はどうか」といったリスクを否定せず、その上で「厳罰化では何の問題も解決しない」としてきました。

 

(2)法的実践として運用のグレーゾーン、法規定の恣意的運用が懸念されます。

 この点はあまり、法学や政策論争として提起されていないのですが、所持なき大麻の使用罪なるものを策定する諸国はなく、日本独自の運用となることと思われます。これがどの範囲で、どの程度の証拠をもって運用されるのかは、未来の警察/法運用となるため、現時点で断定できる人は誰もいません。

 

 しかしストリート水準での非罰化を20年来ずっと訴えてきた私たちの視点からすると、この「曖昧な使用罪」の導入は、警察や入管といった規制行政のフリーハンドを増やし、処罰対象をより曖昧なものにする帰結を大変憂慮しています。

 

 具体的に言えば、厚労省監麻課は「大麻という農作物の刈り取り」に際してTHCは検出されなかったとしていますが、これは大麻の花弁が成熟する時期になされたものであるかどうかが不分明です。根拠として一義的には妥当しないというか、判断不能としか言いようがない「検出」です。

 

 また同様に、諸外国のパーティやクラブなどでしばしばみられる、「クッキングハイ」の事例は大変ありえることです。自ら喫煙はせずに不作為で知らずに、クッキーや、THC入りのクリームソースを舐めたものが、帰国時に疑われる場合、自身の無罪をどう証明すれば良いのか全く分かりません。繰り返していえば、カリフォルニアにおいてこうした事例はコカインや覚せい剤と全く異なり、社会生活において偶発的に見られるものとなっているということです。

 こうした事例を判断する場合、「過去の行動が疑わしかったから起訴」「あるいはただの偶然だろうから不起訴」と考えるのは、「社会的通念」による警察や法務行政の担当者になるのでしょうか。そうした法運用のグレーゾーンを増して、結局得られる「法的な利益」は社会的な利益ではなく、ただの「規制行政にとっての利便性」ではないのでしょうか。

 

 古くから大麻厳罰化に反対してきたものとして、明確に使用罪に反対するという記録をここに残しておきます、というお話でした。

カンナビスト@関西 cannabisty@gmail.com

11月サロンのお知らせ

コロナ拡大のためなかなかリアルでサロンが出来ていないのですが

11月末にオンラインで開催します。

 

11月28日(土)21時~22時半ごろ

Zoom開催: 入退出や画像オンオフ自由

 

大統領選後の展望や、MORE Actなどここのところ多くの大麻関連ニュースがありました。またオレゴン州はハードドラッグの非犯罪化を可決して、欧州型のハームリダクション政策に転換しました。

 

オンライン参加のURLは予約者に別途メールでお送りします。どなたでもご連絡下さい。

cannabisty@gmail.com

 

www.nytimes.com

 

7月サロンのお知らせ

コロナ問題が少し落ち着いたので7月末にサロンを予定していて、とてもやりたいのですが、この一週間不穏な感じですね。

 

今のところ開催予定なのですが、明日以後、大阪で感染者が減っていかないようなら再考します。7月21日(火)には確定のお知らせを行います。

 

 → 京都、大阪と非常に不穏な感じなので中止です。代わりにオンラインでZoomを用いて行います、どなたでも「入退場自由のちょっとした雑談ルーム」としますので、参加希望の方は下記メールまでご連絡ください。

 

予定(中止)

【関西サロン】
とき:7月26日(日) 18:00~21:00
ところ: 中崎町 朱夏
http://amanto.jp/index.php/groups/shuka/
*参加無料、出入り自由

今回のサロンでは、以下のような話をする予定です。
○ 2020年の活動について
○ カナダ・ドイツなど各国法制の話題
○ その他参加者がしたい話をなんでも 

 *お店の都合などで急遽場所変更となる場合がありますので、初回の方は念のため下記メールに事前連絡いただけるとありがたいです。

幹事メール: cannabisty@gmail.com

明治期の「大麻煙草」広告

自宅で研究するしかないので、ひたすら調べものをしています。

今書いている文章で、近代日本における大麻を考えようとしているのですが、この界隈だと有名な薬としての「印度大麻草」の初出や内容がどうだったのか調べてみました。

今ネット上にあがっている写真や画像は一部不正確であったり、画像不鮮明のものが多いので、各新聞社データベースと契約している大学のリモートアクセス機能で全紙あたってみました。

 

ちまたで良く言われるのは、明治期読売新聞の「知新堂」広告なのですが、これ実際には国内で大分後の事例です。またネット上でみられたのは、2番目の広告ばかりで、初出ではありませんです。読売新聞の初出はこちらです。

 

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読売新聞、1895年(明治28年)11月14日、朝刊5ページ目、「ぜんそくたばこ 印度大麻煙草小林謙三 知新堂薬店」

 

公式データベースの記載

1895.11.14 [広告]ぜんそくに印度大麻煙草/知新堂 小林謙三薬店

1896.01.20 [広告]ぜんそくたばこ 印度大麻煙草/東京市神田区 知新堂 小林謙三薬店

 * 神田にありました知新堂による大麻煙草広告はこの二つだけです。他店舗は見た範囲だと出していないようです。

 

 

しかし実際には、近代日本で最初の大麻煙草広告は、この13年前の朝日新聞です。

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こちら大坂平野町で商いをしていた、大井卜新(ぼくしん)の薬舗が出した「印度大麻煙草」の広告です。こちらは1882年(明治15年)です。これが日本初出です。

1882年11月1日 大阪/朝刊 4頁 広告広告)日本専売人薬舗大井卜新 印度大麻煙草 複方次亜燐酸塩 【大阪】

大井卜新の朝日新聞大阪版広告は、このあと22回、1895年まで継続して出されていますので、新聞史としてみると、知新堂よりはまずこちらに注目すべきですね。

 

印度大麻草の広告はこれらを除いて他の薬舗では広告を出していないようでした。検索ワードを替えるとまた新しくみつかるかもしれませんが。一般的な新聞内容としても「大麻ぜんそく」「印度大麻がどうした」といった内容は皆無なので、明治期の大日本帝国では、大麻煙草はごく一部の薬剤師が扱っていた珍品であって、一般社会で知られていたわけではありません。

 

ちなみに大井卜新はこの時代、藩士あがりの薬剤師をやっていましたが、このあと大阪府会議員から衆議院議員になる地方名士です。薬学のルーツとしては日本に蘭学を広めた軍医の一人ポンペ・フォン・メーデルフォールトの弟子筋にあたります。

 

これに対して、大井よりも後に大麻煙草を扱いだした小林謙三は、適塾のルーツにあります。小清水敏昌が日本薬史学会2018で報告したレポートが参考になり、こちらには「小 林 謙 三 は 適 塾 の 門 下 生 で そ の 後 、 知 新 堂 薬 舗 を 東 京 神 田 に 開 き他 の 売 薬 と 共 に 喘 息 煙 草 を 販 売 。 当 時 の 新 聞 に 広 告 を 出 し て い る 」とされています。

 

こうしてみると、近代日本の大麻煙草はまず明治15年頃から大阪を始発点として、蘭学ルーツの大井卜新が開拓し、その後、東京で適塾ルーツの小林謙三が商いをはじめたといえます。しかし世間一般に広まったわけではありませんでした。

 

明治期で調べていて面白いのは、やはり「神宮大麻」とナショナリズムがらみですね。国家神道が整備されていく帝国日本の過程で、古くからあった千差万別な民俗風習も、国が管理する神道に吸収されていきます。このあたり、きちんと「大麻煙草」の薬史も併せて、そのうち本か論文などでまとめて出します。

この過程で、「うちの家に神宮大麻を押し売りするな!」というローカルな反対運動や、「うちは神道じゃない、別宗教に押し付けるな!」といった声もあがっているのですが、日清日露戦争を経て、こうした声は抑圧されていきます。

日中戦争期になると、「官暦の配布」と「神宮大麻頒布」がセットになって、「国と軍が一元的に管理する、時間、歴史、宗教の全面管理」が達成され全体主義完成って感じになりますね。こうした帝国大麻の歴史は別に復古させなくていいと思いますが、興味深いです。

 

cannabisty@gmail.com

3月サロン中止について

3月末のサロンはコロナ問題のため一時中止として、状況をみながら、4月末か5月末に開催できるかどうかを、逐次おしらせします。 

 

コロナ問題はおそらく日本の世間が思っているよりは深刻なようです。政府・行政の「後手後手」すぎる対応を批判的にみています。

インペリアル・カレッジの報告書など、海外の状況をみると、日本でも早晩ある閾値を超えて加速度的な増加になる可能性が高いのではないかと心配しています。

https://www.imperial.ac.uk/news/196234/covid19-imperial-researchers-model-likely-impact/

 

大阪府厚労省の予測値では、3月末から4月上旬において大阪で三千名の感染者がでるのではないかとの試算も報じられている通りです。実際には検査数が足りていないので、それほど増えない(ようにみえる)かもしれませんが、今後リスクの増加は避けられないようにみえます。

www.jiji.com

 

3月末のサロンはそれ自体では、少人数かつ広めのカフェなのでリスクは極小だと思うのですが、電車・地下鉄利用者が多く、来週になるとさらに交通機関のリスクは無視できない程度にはありそうです。

 

大学関係でも、数人~10名程度の研究会も軒並み中止になっていて、4月の授業開始も懸念されているというか、多くで延期発表が出ていますね…。

 

昨日NORMLは小規模ビジネスである栽培農家やディスペンサリーにとって、とくにダメージになることを問題とする声明をだしました。大麻関連の合法的な労働を行っている人々は24万人ほどいるけれど、連邦法下でのきちんとした保護下になく、コロナ問題の影響が直撃してしまうという趣旨で、その通りだと思います。

blog.norml.org

 

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