気になっていること

ここのところ、気になっていることについて

 

最近知人とお茶しながら、総理夫人の昭恵さんが、やたらと大麻業界(?)で話題になっていて、しばしば持ち上げられているけどどうなの?という話をしていて、その場では二人の意見が一致したので、ああ、こう思っているのは僕だけじゃないんだと思って、私見を記したいと思います。これはもちろん、カンナビストは色々な人が参加する会なので、全く山本のぼやきに過ぎません。

 

私としては、昭恵さんが明らかに大麻問題に同情的な立場で、自然を愛している、チャーミングな人だと思います。多分、一緒にお茶を飲んだらいい感じに会話できると思います。でも、私はそうしたいと思いませんし、彼女が仮に大麻問題を前進させるための看板として「使える」などと思ったとしても、関与したくはありません。

 

理由は明らかです、彼女は確かにチャーミングな人かもしれませんが、一方で総理夫人として、その役目も果たしている人です。そして、今現在、沖縄で基地を推進しようとし、タカ派で鳴らした島尻候補の応援演説を行って、安倍を「独裁者とは思いません」と応援した人でもあります。

安倍昭恵夫人が涙ながらに必死の「島尻あい子 応援演説」@那覇 - YouTube

三宅洋平は、彼女と連れ立って突然、基地運動の現場につれていったそうですが、これに対して古くから基地反対運動を行っている人々から、当惑と批判の声があがるのも無理はありません(例えば下記)。いくら、彼女がチャーミングでも、それならば通すべき筋はあったはずで、いくらなんでも基地推進で「基地反対の人は無責任」とか言っている与党候補の応援を行っていながら、「でも私個人はどうかと思うのよね~」とかいいながら、反対運動に同情しているそぶりを見せる人間を私は政治的には、信用しません。

高江に対する暴力に与してきた総理夫人が「私」「個人」の立場で「実態を知りたいから来た」は、あり得ない - Blog of SAKATE

 

一体全体、原発推進の側に事実上立ちながら、その上で飯を食って、「でも個人としては自然が大事」とか言ってる人を信用できるのか、私は無理です。社会的に有名な人で、政治権力に近い人が、どのような立場にあったとしても「大麻問題に同情的」というだけの理由で、私たちはそれにすり寄っていいのか。ダメだと思います。私はそうした人と一緒にやって、裏切られたくないし裏切りたくもないので、単に最初から一緒にやろうと言いません。

もし仮に、ブッシュ元大統領が突然、俺は大麻に目覚めたとかいって合法化を言い出したとして、彼は彼で勝手にやればいいと思いますが、僕は彼と一緒にやりたくはありません。使えるものはなんでも使えとか、ダメなものはダメだからです。細かいことは抜きにして、一致する部分でOne Loveとか、それはOne Loveじゃないと思います。なぜならそれは細かいことではないからです。

 

極端な事例ですが、共通点のある有名な事例があります。政治哲学のハンナ・アレントは彼女の『イェルサレムのアイヒマン』で、ユダヤ人虐殺を主導したアイヒマン裁判を傍聴した後、その悪の「凡庸さ」に驚嘆しています。アイヒマンは、全く良き夫、良き隣人であり、そして全く機械的に、彼に与えられた役割を全うした良き官僚でした。ここでの良さは、倫理的な善さと全く矛盾していますが、しかし両立します。

 

もちろん、首相夫人をアイヒマンになぞらえたいわけではなくて、この事例を引いたのはここでアレントは、人間本性と倫理についての根本的な問いかけを行っているからです。一方で、民衆を虐げる社会的位置にあって、個人的に気のいい人はいくらでもいます。問題は、社会運動として、彼/彼女とやっていくなら、まず私たちがいうべきことは、じゃあ少なくともその社会的位置から降りて、民衆の側にきてくれということだと思います(あたりまえですが別に離婚しろとかいってるわけじゃなく、少なくとも原発や基地推進派の応援から手を切ってからにしろといっています、原発と基地と靖国参拝に賛成で大麻合法化賛成とか、ブラックジョークにしかなりません。忌野清志朗とポンさんが泣いてます)。

 

一昔前、「ヒッピー」と呼ばれていた人が大麻合法化を言っていたころ、彼らが通した筋は反権威、反権力でした。彼ら/彼女らは、「天皇至上主義の社会」「原発賛成の社会」「大麻所持くらいで逮捕する社会」の三つに反対し、これを三本柱としていました。別にこれだけが正しい主張であるとは微塵も思っていません。でも、夫人を「使う」のは一体どうなのとか、そうした議論もあまり起こっていないように思えたので、最低限、意見の多様性を確保するために心中で思っているだけではなくて、書いておこうと思いました。

 

最近、気になっていることでした