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旧記事:ワシントン・コロラドでの大麻合法化(解説)

旧記事

Naoです。皆さん、オバマ当選おめでとうございます。

いやはやこれでロムニーが逆転していたら、またブッシュ時代の再来かとひやひやしていたのですが、マイケル・ムーアもロムニー批判の映画を撮影しなくて済みそうです。

さて、アメリカでは大統領選にあわせて州法改正が行われるのが恒例行事で、今回は「大麻合法化」「同姓婚」「尊厳死」などがテーマになっていました、そしてもうご存知のとおり、ワシントンとコロラド州では成人による大麻の少量所持が、完全に合法化されました。

既に速報はpotさんが書いてくれているので、ここでは簡単に解説だけ。

まず大統領選があまりにビッグニュースでしたので、大麻合法化については米国有名新聞でも二次的な扱いで、事態がやや掴みにくいところがあります。しかしそれでも、ワシントン・ポストニューヨークタイムズなどの大新聞では、「リベラル派の躍進」などとして報じられているとおりです。

また、ワシントン・ポストは「全米に聞く大麻世論調査」にて、すでに全米ではオバマ支持をやや上回る55%が大麻合法化に賛成、45%が反対という結果を報告しました(11月9日記事より)。

それでは、今回の州法変更について要点をまとめてみましょう。

詳しくは大麻非犯罪化を古くから訴えているNORMLの記事を参照するのが早いのですが(11月8日付け)、この記事にもあるように、

ワシントンでは、12月から法改正がなされ、21歳以上の成人が1オンス(約28グラム)以下の乾燥大麻所持について、一切の罰則が適用されないということになります。

またコロラドでもほとんど同様なのですが、ワシントンよりも州ぐるみっていう感が強くて、州公認のドラッグストアなどで販売しちゃうのもいいよね、栽培も別に問題ないよねという改正案になっています。

コロラドでは、21歳以上の成人が1オンス以下の乾燥大麻所持および6株以内の室内栽培について、全く罰則が適用されなくなります。また来年度に細かな法改正をさらに進めて、2014年度には認可を受けたドラッグストアなどで大麻が販売される見通しです。

さて、ここからは解説なのですが、丁度2年前の今頃、カリフォルニア州ではProp19という大麻合法化の住民投票が行われました。これはかなりの僅差で否決されたのですが、というのも、既にカリフォルニアでは医療用大麻が合法化されていて、さらにそれに加えて全面的な合法化を(今回のコロラド、ワシントンのように)行うのがいいのか、それとも現状維持でいいのかということが争点になっていました。

既に全米では多くの州で医療用大麻の合法化が実施されていて、例えばロサンゼルスやサンフランシスコ周辺にいけば、ちょっと気をつけて車から外を眺めていると、ものすごい数の「ドラッグストア」が存在することに気付くはずです。

単に「Medical Center」と書いていたりするのですが、一度google mapでロス近郊の地図を出して、cannabisやmarijuanaで検索をしてみて下さい。ほとんどスターバックスと同じ程度の数のお店をみることができます。

例えばこういうドラッグストア?が多数あります。http://www.sunsetsupershop.com/

そして、今回のワシントンおよびコロラド州の合法化法案は、こうしたカリフォルニアやオークランド、あるいはハワイ州などでの事実上の非犯罪化法案を念頭においた上で、これを一歩進めたものだと評価することができます。

アメリカにおいては、多くの報道がこれを「リベラル派」(=オバマ支持層と近い)の成功であるとしていて、これにはもっともな理由もあります。

そもそも現在の連邦法による大麻規制の前進であった大麻課税法は1937年に成立し、これが戦後になってから単一麻薬条約や連邦法と合流しました。しかし30年代~60年代の大麻規制の流れは、明らかに黒人およびチカーノへの偏見に基づいたものでしたから(30年代に大麻喫煙をしていたのは主に黒人とチカーノですので)、そうした文化的な差別を法律に反映させるべきではないと考えるリベラル派の人々と、いやいやアメリカは第一に白人の国なのだから、白人の慣習が優先されるべきだ(とまで現代では露骨にはいわないにせよ、ロムニー支持の極右たちはそう考えています)と考えている保守層の対立が、こうした大麻合法化をめぐるYes or Noで争点を形成してきました。

いずれにせよ、アメリカにおける大麻合法化の流れは、日本国内では日本の慣習に合うようにうまい具合に変換されて(日本の保守層の感情を傷つけないように)、「これは単に税金対策の苦肉の案」「連邦法では規制されてる珍妙な法律」として報道されることに一切の疑いの余地はありません。たしかにカリフォルニアのProp19では、賛成派が「課税すれば州の財源ともなる」ことを賛成の根拠として主張していたことは事実ですし、そうした社会的利益を軽視すべきでもないのですが、そこだけを取り上げるのは一面的でしょう。

しかしながら、実際のところは単にオバマ支持層とキリスト教右派を中心とする保守派の対立であり、その主たる要因は文化的差別を源流とするような法律でもって、人を処罰することが良いのかどうかという、とてもまっとうな政治的係争であり、そして今回勝利したのは「リベラル派」であったのです。